山梨県庁で MaaS についての勉強会が行われました

7月2日、山梨県庁防災新館にて「MaaSに係る勉強会」が本ゼミ教授 田中敦先生主催で行われました。ゲストスピーカーとして

JTBコミュニケーションデザイン チーフマネージャー 黒岩隆之様

JTB総合研究所 取締役コンサルティング事業部長共創戦略部長 小里貴宏様

JTB総合研究所 室長 松本博樹様

をお招きし、山梨県庁 観光部、リニア交通局、交通政策課 の方々へ向けて行われました。本ゼミ4年の今井、三科も傍聴させていただき、大変学びの多い時間となりました。

以下に、「MaaSについての学生レポート」として昨日の学びを簡単にですがご報告させていただこうと思います。

 

2019.7.3

MaaSについての学生レポート

 

 

~そもそもMaaSとは~

 日本政府には「IoTやAIを活用した新しいモビリティサービス」と位置付けられる。電車・バス・タクシーなどの公共交通機関、更にはシェアリングエコノミーの一つである配車サービスなどの「交通」をICT活用によってクラウド化し、モビリティ(移動)を一つのサービスとして提供するものだ。移動側(ヒト・モノ)や車両等から得られる膨大なデータをスマートフォンなどで見える化し、蓄積していくことで、より最適な移動情報を提供することができるというシステムのことだ。例えば、観光において進められているMaaSの例としては、従来ならば観光地で「観劇したい」と思ったら、近くの劇場を調べ、最寄りの駅を調べ、そこから電車の時間を調べて…、また電車で行けない場所となればバスならば行けるのか、それともタクシーを使おうか…となるところを、スマートフォンで「観劇したい」という需要を打ち込むだけでその目的を達成するための最適なモビリティ手段が提供される、というものだ。

 現在日本ではまだ浸透しておらず、全国28か所においてテスト段階であり、今後 国を挙げて推進していくべく、産学官の連携を進めていくことが急務だ。

 

~MaaS導入による社会的課題アプローチ~

・観光客へのアプローチ

 MaaS導入によって、従来は交通機関が無くて訪れることが困難だったローカルな場所にも訪れやすくなったり、特に外国人観光客は、いちいち移動手段の乗り換えなどを気にする必要が無くなり、ボタン一つで目的地までのルートが示されるのでストレスフリーな地域観光の実現に一役買うことが期待される。

・地域へのアプローチ

 近年利用客の低下などを理由に各地域の公共交通機関が廃線になったり縮小されたりする中、MaaSによって利用客側の需要に合わせた最適な移動手段の提供や、公共交通の在り方の提案が期待される。

 また、昨今問題になっている「高齢者の免許返上」には、配車サービスなどの提供によって免許返上後も高齢者に快適な暮らしを提供できることなどが期待される。

・輸送業へのアプローチ

 人手不足やドライバーの過酷な労働条件が問題になった郵送業においては貨客混載や自動走行宅配ロボットの導入による物流高度化に向けた取組・実証が進められている。

 

~MaaS導入にむけての課題点~

・すべての交通情報をクラウド化する必要がある

 これからMaaSを導入していくことでまず問題になるのがすべての交通情報のクラウド化だ。地域交通事業者への呼びかけや説得、システムの構築が急務だ。

・全国一律導入ができない

 MaaSの導入は、その土地が抱える問題(例えば都市部と地方では抱える問題が異なる)に合わせた導入が求められるので、ヨーロッパの先進事例、はたまた日本の他の地域の成功事例をそのまま自分の地域に当てはめれば円滑に進むというわけではない。まず、対象とする地域の策定から慎重に決めていき、どういった問題があり、どの様なアプローチが有効か、どういった事業者を巻き込んでいくのかというところをケースバイケースで対応していく必要がある。

・日本の縦割り的な組織

 日本の組織に特徴的な「管轄」といった制度や縦割り的な組織体系が、MaaS導入を困難にさせる可能性がある。そういった「隔たり」にとらわれず、柔軟な姿勢で取り組む必要がある。モビリティには、多くの主体(行政、交通事業者、商店街、利用者)が関わっている。例えば、行政内では「課」「局」「部署」といった垣根を超えた連携が必要となる。さらに、産学官による連携など、様々な主体が関わり、地域ごとに最適なMaaS構築を目指すことが大切になる。